甲状腺について
耳鼻咽喉科では、耳・鼻・のどだけでなく、首から上(脳・眼を除く)の「頭頸部」領域も専門的に診療しています。
頭頸部には、聞く・嗅ぐ・話す・飲み込むなど、日常生活に欠かせない重要な機能を担う器官が集まっており、甲状腺もそのひとつです。
甲状腺は首の前側、のどぼとけの下あたりに位置する、蝶が羽を広げたような形をした小さな臓器です。
ここから分泌される「甲状腺ホルモン」は、新陳代謝や体温、脈拍、自律神経など、全身のさまざまな働きを調整しています。
甲状腺ホルモンは、
- エネルギー消費を調整する
- 体温を保つ
- 脈拍をコントロールする
- 子どもの成長や発達を支える
など、身体を正常に保つうえで重要な役割を担っています。
このホルモンが過剰になると「甲状腺機能亢進症」、不足すると「甲状腺機能低下症」を引き起こします。
甲状腺機能亢進症でみられる症状
- 首の前側が腫れる
- 暑がりになる
- 汗をかきやすい
- 動悸
- 食欲はあるのに体重が減る
- イライラしやすい
- 手の震え
- 軟便
- 目が出て見える
- 月経量の減少
- など
甲状腺機能亢進症について
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、全身の代謝が高まり、さまざまな症状が現れる病気です。
代表的な病気として「バセドウ病」があります。
自己免疫の異常によって、甲状腺が過剰に刺激され続けることで発症すると考えられています。
30代前後の女性に多くみられ、男性より女性に多い疾患です。
甲状腺機能低下症でみられる症状
- 首の前側が腫れる
- 寒がりになる
- 皮膚の乾燥
- 脈が遅くなる
- 食欲が低下しているのに体重が増える
- 眠気やだるさ
- 抜け毛
- 貧血
- 便秘
- 月経量の増加
- など
甲状腺機能低下症について
甲状腺ホルモンが不足し、全身の代謝が低下している状態です。
代表的な病気として「橋本病」があり、自己免疫異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起こり、ホルモン分泌が低下します。
女性に多い病気で、若年層から中高年まで幅広い年代でみられます。
症状が強くなると、強い倦怠感や意識障害などにつながることもあります。
甲状腺がんについて
甲状腺には、しこり(腫瘍)ができることがあります。
その多くは良性ですが、一部に悪性腫瘍(甲状腺がん)が含まれます。
甲状腺がんの多くは「甲状腺乳頭がん」で、比較的進行がゆるやかなことが特徴です。ただし、放置すると周囲へ広がることもあるため、適切な検査と経過観察が重要です。
甲状腺の検査について
甲状腺疾患が疑われる場合には、問診・触診に加えて各種検査を行います。
主な検査内容は以下の通りです。
- 血液検査
- 甲状腺ホルモン測定
- TSH測定
- 自己抗体検査
- 超音波(エコー)検査
エコー検査では、甲状腺の腫れやしこりの有無、大きさや形状などを確認します。
必要に応じて、細い針で細胞を採取する「穿刺吸引細胞診」を行い、良性・悪性の判定を行うこともあります。
甲状腺の治療について
甲状腺機能亢進症・低下症ともに、基本的には薬物療法が中心となります。
バセドウ病では甲状腺ホルモンを抑える薬を使用し、橋本病では不足している甲状腺ホルモンを補う薬を使用します。
病状によっては、
- 放射性ヨウ素治療
- 手術治療
などが必要となる場合もあります。
また、甲状腺がんでは、
- 手術
- 放射性ヨウ素内用療法
- 放射線治療
- 薬物療法
などが行われます。
専門的な治療が必要と判断した場合には、連携医療機関をご紹介いたします。
頭頸部腫瘍とは
頭頸部腫瘍とは、顔から首にかけて(脳・眼を除く)発生する腫瘍の総称です。
良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)があり、耳鼻咽喉科ではその診断・治療を行います。
当院では、
- 診察
- 血液検査
- 超音波検査
- 鼻腔・咽頭・喉頭内視鏡検査
- CT検査
- 穿刺吸引細胞診
などに対応しています。
また、粉瘤・いぼ・乳頭腫・粘液嚢胞などの良性腫瘍については、局所麻酔による日帰り手術にも対応しています。
入院治療や高度医療が必要な場合には、適切な医療機関へご紹介いたします。
主な頭頸部腫瘍
良性腫瘍
- 粉瘤
- いぼ
- 乳頭腫
- 肉芽
- 粘液嚢胞
- 正中頸のう胞
- 側頸のう胞
- 耳下腺腫瘍
- 顎下腺腫瘍
- 甲状腺腫瘍
- 副咽頭間隙腫瘍
- がま腫
- など
悪性腫瘍
- 喉頭がん
- 咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)
- 口腔がん(舌がん)
- 上顎洞がん
- 耳下腺がん
- 甲状腺がん
- 聴覚器がん(中耳がん、外耳道がん)
- など
頭頚部がんについて
頭頸部がんは、中高年男性に多くみられる傾向があります。
主なリスク因子として、
- 喫煙
- 飲酒
- EBウイルス
- ヒトパピローマウイルス(HPV)
などが知られています。
特に、のど・口腔・喉頭など、発声や飲み込みに関わる部位に発生しやすい特徴があります。
治療では、
- 手術療法
- 放射線治療
- 薬物療法
などを組み合わせながら、病状に応じた治療を行います。
